『裸足のシンデレラ』1991年
1991年牝馬クラシック路線は稀に見ぬ大混戦となっていた。
<冒頭>
前年の牡牝混合の3歳重賞10レースでは牝馬が6勝をあげ、年が明けて4歳になってからも、シンザン記念をミルフォードスルー、ペガサスS(現アーリントンC)をノーザンドライバー、3戦3勝名門トウショウ牧場のシスタートウショウ、時代を大きく動かそうとしている社台ファームからは父ノーザンテーストのスカーレットブーケ、そして今回の主人公であるイソノルーブル抽選馬ながら前年の阪神3歳牝馬Sを含む5戦5勝、5強とも言われた桜花賞が幕を開ける。

イソノルーブルが「裸足のシンデレラ」と呼ばれるのには、生い立ちがある。名門の出でお嬢様のシスタートウショウ、スカーレットブーケなどどは違い、小規模牧場の出でしかも500万で売れた抽選馬だった(現JRA主催のブリーズアップセールのようなもの)
JRAには、当時「抽選馬」という制度があった。競走馬の売買には閉鎖的な慣行、しきたり等が多いため、資金力が小さく、馬産界と特殊なパイプを持たない零細馬主は、馬を買うことさえなかなか難しい。そこで、こうした馬主のために、日本中央競馬会自身がセリで馬を買ってきた上で競走馬になれるよう調教し、最後には割り当てを希望する馬主に抽選で決められた順番に従って、調教した馬を配布する制度である。
名門出のお嬢様とは明らかな差があったルーブルだったが、いざデビューするとその差を感じさせない、いや、むしろ上回ったかのうような走りを見せ、抽選馬限定戦ではあったもののデビュー戦はスピードだけで1000Mを逃げ切り、2走目のダート戦ではパワーのある所も見せた
そして、阪神3歳牝馬Sを迎える。ここでお嬢様スカーレツトブーケ、期待の牝馬ミルフォードスルーと相対する事になる
『アンタなんか初戦500万円の馬よ』byブーケ
『2戦2勝って抽選馬限定戦でしょ』byスルー
言ったか言わないかわからないが、これはファンの評価も同じ事で、ルーブルは8番人気に甘んじていた
所が、ゲートが開くと他のスピード自慢の馬を差し置いて、馬なりでハナに立ち、直線に入って2の脚、3の脚を使い、グングンとスピードを上げて行って超と言っても良いほどの横綱相撲で勝利した
この勝利でお嬢様達、そしてファンも抽選馬イソノルーブルの強さを実感する事になった
年が明けてもエルフィンS・フィリーズレビューを圧倒的なスピードで逃げ切り、そして大混戦のクラシックロードへ突入(冒頭へ)
ファンは5戦5勝のルーブルを他のお嬢様達を差し置いて、1番人気に指示をした。
・・・・・・・・・
おてんばな気性だったルーブルは、桜花賞レース直前ゲート付近で落鉄し、つけなおそうと試みるも、ルーブルはパニック状態、そしてついにレースはスタートを迎える。ルーブルは靴を落としたまま桜花賞のゲート出た
イソノルーブル落鉄事件はコチラを参考に
結果はお嬢様シスタートウショウが勝利、靴を落としたまま走ったイソノルーブルはハイペースに巻き込まれ5着に敗れた(ミニ情報、この時のシスタートウショウの口取り式で後に騎手になる池添騎手が参加していた)
1番人気で無敗の桜花賞馬を目指したが5着と言う結果に落胆した陣営・・・・・・・・
しかし、諦めない!!オークスへのリベンジを誓った
桜花賞から手綱を取った松永幹現調教師はオークスを後にこう語っていた
『騎手、厩舎よりも馬が勝ちたいと言う気持ちが1番強かった』と
抽選馬に対する嫌がらせかと思うような、20番枠からのスタートとなったルーブル
『やっぱり貴方は抽選馬、その血統なんかじゃ私に叶わないわ』byシスタートウショウ
そんなお嬢様シスタートウショウも1番人気、2冠のプレッシャーからか、期待馬ミルフォードスルーと共に出遅れてしまう
絶好のスタートを決めたルーブルは馬上の王子様(松永幹)と絶妙な逃げで1000M、1マイルを通過する。
『抽選馬に勝たれちゃう』とばかりに、ノーザンドライバー、スカーレツトブーケが捕まえようと動くもルーブルは全く動じない、それどころかますます加速してゴール版に近づいていく
ついに残り50M
『貴方なんかにお嬢様の私が負けるはず無いわよ』byシスタートウショウ
後方ににいた、シスタートウショウがゴール手前猛然とルーブルに襲い掛かる
着差はハナ差で見事、今回は靴を履いていた『シンデレラ』が王子様と1着でゴール版を駆け抜けた
抽選馬が名門お嬢様に勝った瞬間だった!!
「勝たせない」「勝ちたい」と言う、騎手、厩舎、馬主、馬の様々な思いがドラマを作り出した競馬の一例である。
<<完>>
<おまけ>
もちろん動画もありますよ!!
<あとがき>
繁殖生活を向かえイソノルーブル、シスタートウショウだが、近代競馬の血統の波に飲み込まれていく。繁殖生活ではスカーレットブーケがダイワメジャー、スカーレットなど早々たる娘、息子を送り出し、競争生活のリベンジを果たした
<冒頭>
前年の牡牝混合の3歳重賞10レースでは牝馬が6勝をあげ、年が明けて4歳になってからも、シンザン記念をミルフォードスルー、ペガサスS(現アーリントンC)をノーザンドライバー、3戦3勝名門トウショウ牧場のシスタートウショウ、時代を大きく動かそうとしている社台ファームからは父ノーザンテーストのスカーレットブーケ、そして今回の主人公であるイソノルーブル抽選馬ながら前年の阪神3歳牝馬Sを含む5戦5勝、5強とも言われた桜花賞が幕を開ける。

イソノルーブルが「裸足のシンデレラ」と呼ばれるのには、生い立ちがある。名門の出でお嬢様のシスタートウショウ、スカーレットブーケなどどは違い、小規模牧場の出でしかも500万で売れた抽選馬だった(現JRA主催のブリーズアップセールのようなもの)
JRAには、当時「抽選馬」という制度があった。競走馬の売買には閉鎖的な慣行、しきたり等が多いため、資金力が小さく、馬産界と特殊なパイプを持たない零細馬主は、馬を買うことさえなかなか難しい。そこで、こうした馬主のために、日本中央競馬会自身がセリで馬を買ってきた上で競走馬になれるよう調教し、最後には割り当てを希望する馬主に抽選で決められた順番に従って、調教した馬を配布する制度である。
名門出のお嬢様とは明らかな差があったルーブルだったが、いざデビューするとその差を感じさせない、いや、むしろ上回ったかのうような走りを見せ、抽選馬限定戦ではあったもののデビュー戦はスピードだけで1000Mを逃げ切り、2走目のダート戦ではパワーのある所も見せた
そして、阪神3歳牝馬Sを迎える。ここでお嬢様スカーレツトブーケ、期待の牝馬ミルフォードスルーと相対する事になる
『アンタなんか初戦500万円の馬よ』byブーケ
『2戦2勝って抽選馬限定戦でしょ』byスルー
言ったか言わないかわからないが、これはファンの評価も同じ事で、ルーブルは8番人気に甘んじていた
所が、ゲートが開くと他のスピード自慢の馬を差し置いて、馬なりでハナに立ち、直線に入って2の脚、3の脚を使い、グングンとスピードを上げて行って超と言っても良いほどの横綱相撲で勝利した
この勝利でお嬢様達、そしてファンも抽選馬イソノルーブルの強さを実感する事になった
年が明けてもエルフィンS・フィリーズレビューを圧倒的なスピードで逃げ切り、そして大混戦のクラシックロードへ突入(冒頭へ)
ファンは5戦5勝のルーブルを他のお嬢様達を差し置いて、1番人気に指示をした。
・・・・・・・・・
おてんばな気性だったルーブルは、桜花賞レース直前ゲート付近で落鉄し、つけなおそうと試みるも、ルーブルはパニック状態、そしてついにレースはスタートを迎える。ルーブルは靴を落としたまま桜花賞のゲート出た
イソノルーブル落鉄事件はコチラを参考に
結果はお嬢様シスタートウショウが勝利、靴を落としたまま走ったイソノルーブルはハイペースに巻き込まれ5着に敗れた(ミニ情報、この時のシスタートウショウの口取り式で後に騎手になる池添騎手が参加していた)
1番人気で無敗の桜花賞馬を目指したが5着と言う結果に落胆した陣営・・・・・・・・
しかし、諦めない!!オークスへのリベンジを誓った
桜花賞から手綱を取った松永幹現調教師はオークスを後にこう語っていた
『騎手、厩舎よりも馬が勝ちたいと言う気持ちが1番強かった』と
抽選馬に対する嫌がらせかと思うような、20番枠からのスタートとなったルーブル
『やっぱり貴方は抽選馬、その血統なんかじゃ私に叶わないわ』byシスタートウショウ
そんなお嬢様シスタートウショウも1番人気、2冠のプレッシャーからか、期待馬ミルフォードスルーと共に出遅れてしまう
絶好のスタートを決めたルーブルは馬上の王子様(松永幹)と絶妙な逃げで1000M、1マイルを通過する。
『抽選馬に勝たれちゃう』とばかりに、ノーザンドライバー、スカーレツトブーケが捕まえようと動くもルーブルは全く動じない、それどころかますます加速してゴール版に近づいていく
ついに残り50M
『貴方なんかにお嬢様の私が負けるはず無いわよ』byシスタートウショウ
後方ににいた、シスタートウショウがゴール手前猛然とルーブルに襲い掛かる
着差はハナ差で見事、今回は靴を履いていた『シンデレラ』が王子様と1着でゴール版を駆け抜けた
抽選馬が名門お嬢様に勝った瞬間だった!!
「勝たせない」「勝ちたい」と言う、騎手、厩舎、馬主、馬の様々な思いがドラマを作り出した競馬の一例である。
<<完>>
<おまけ>
もちろん動画もありますよ!!
<あとがき>
繁殖生活を向かえイソノルーブル、シスタートウショウだが、近代競馬の血統の波に飲み込まれていく。繁殖生活ではスカーレットブーケがダイワメジャー、スカーレットなど早々たる娘、息子を送り出し、競争生活のリベンジを果たした
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